枕草子 第23段「清涼殿の」 
 

作者名  清少納言 (ca.966-?)
作品名  枕草子
成立年代  ca.1008?
 その他  
 清涼殿の丑寅のすみの、北のへだてなる御障子は、荒海の絵、生きたる物どものおそろしげなる、手長足長などをぞかきたる、上の御局の戸をおしあけたれば、つねに目にみゆるを、にくみなどしたわらふ。
 勾欄のもとにあをき瓶
(かめ)のおほきなるをすゑて、櫻のいみじうおもしろき枝の五尺ばかりなるを、いと多くさしたれば、勾欄の外まで咲きこぼれたる、ひるつかた、大納言殿(藤原伊周)、櫻の直衣(なほし)のすこしなよらかなるに、こきむらさきの固紋の指貫(さしぬき)、しろき御衣ども、うへにはこき綾のいとあざやかなるをいだしてまゐり給へるに、うへのこなたにおはしませば、戸口のまへなるほそき板敷にゐ給ひて、物など申したまふ。
 御簾のうちに、女房、櫻の唐衣どもくつろかにぬぎたれて、藤・山吹など色々このましうて、あまた小半蔀
(こはじとみ)の御簾よりもおしいでたる程、昼の御座(おまし)のかたには、御膳まゐる足音たかし。・・・
 


 織りこまれた花   サクラ




跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
跡見群芳譜サイト TOPページへ カワニナデシコ メナモミ 文藝譜index 日本江戸時代以前index